遊興制度

芸妓の花代一本金十銭也の「十銭花」で、一時間約十本の割合であるが、最初の一時間は「送り花」二本がついて十二本の勘定となる。

「仕切花」は正午より午後六時迄三十六本、午後六時から夜十二時迄四十八本。 夜零時から午前一時迄の一時間は十六本で、零時から朝六時迄は三十八本。 昼夜仕切花(終日)は百三十本である。 その他日柄、座替り、揚げ、挨拶花、他所行の日柄等の制度あること他の花街と異る所はない。

娼妓の花代これは各妓楼に依つて多少高低があるが、標準は一時間十五本、上り十本といふ至極大衆的な遊び方をさせる家が多くなつたといふ。 花代一本は芸妓と同じく十銭で、夜十二時をすぎると、朝まで三十本内外で泊めるのが先づ昨今の相場らしい。 それで此の遊廓へは旅館兼用のつもりで入込む旅客が多いといふことである。

芸妓は多く子方屋に居るのだから、妓楼からも市中の料亭からも自由によぶことができるが、その特別祝儀は揚屋の格乃至芸妓子方屋の如何に依つて著しい差がある。 一流芸妓を白切符、中流を青切符、下級を赤切符など称し凡そ三段に分れてゐるが、最下級の赤切符でも、東京の場末の花街に較べると遥かに高い。 娼妓本位の遊廓だから芸妓の特祝の高いのは当然であ