遊興制度

芸娼舞妓を聘ぶは貸席に限り、料理屋は貸席の手を経由すべきこと前述の通り、芸妓舞妓の花代は一本三十五銭で、その立て方は、午前六時より正午迄は一時間二本、正午より午後六時までは一時間三本、午後六時より同十二時迄は一時間四本、十二時より午前六時迄は一時間三本の割合。 「通し花」(一日)は五十六本の定め。

普通の座敷には祝儀を要せず、「おふれまひ」(宴会)等の場合に限り一人宛五円位の祝儀を出す。

特別祝儀は最低百円から最高一千円位迄、特約は凡て継続的で其の場限りのものはない、従つて東京式に簡単には行かない。 が、祇園新地で夜十二時以後の花を売ることを「三倍」といふ、格別花代が三倍になる意味ではない、そして其の明し花を売つたまゝ軟化する妓があるので「三倍芸妓」などいふ語もできて居るが、それとても所謂不見転とは異り、初会の客では一寸むづかしい。

枕席に侍ることを「逢ふ」といふ、これ等にも祇園情味の一端を窺ふことが出来やう。