一振り一円

芸妓のまづいのは不運とあきらめて我慢もするが、娼妓の面のまづいのは何とも我慢がならぬ。 しかし貸席から娼妓を呼ぶに写真がある訳ぢゃなし、実物は無論よんだ後でなければ見られない、のだから甚だ勝手がわるい、そこで祇乙や宮川町あたりでは招んだのが気に入らない場合はこれを忌避することが許される。 但し遠路(?)わざく出張に及んだのであるから、忌避料として「送り花」十本(一円位)をつけて、他の妓と取替へることができる。