席賃

貸席にあらず料理屋にあらず、又旅館でもなく、而もそれ等を兼ねた様な一種特別な家で表面の届出は旅館兼料理店となって居る。 料理もすれば宿泊もさせること届出の通りだが普通の旅客を泊めず一現の客をせず、又芸妓扱席との間に連絡もない。 要するに連込専門の家で、伸びりとした気分が粋客に喜ばれる。 席料を取らず、茶代を主なる収入とするもので、芸妓づれで一夜を遊ぶとして、飲食は別として先づ十円の茶代と仲居へ五円の祝儀が普通、それ以上は身分に応ずる。 然し支払ひが貸席と席貸と二重になる贅沢な遊びで、近年は余り流行らなくなった。 席貸の主なるもの四区大目橋の越路、土佐堀の京家、大宝寺町の菊水、笠間町の清梅、南地の伊藤、秋琴亭、曽根崎の上田等。