時間外の「遊び」

然しながら、料理屋であればいざしらず、待合では「時間すぎですから」と云って追出される心配のないことは、こゝにお断りする迄もない。待合は泊るところとのみ解釈してる野暮な客が多いのでもわからう。だが待合は貸座敷である、放館ぢやない、客の泊ることは別として、○○の泊ることは、たゞ監督官庁がこれを黙認してるといふに過ぎない、故に時間外の遊興については、客と待合と○○の自由交渉に任かせ劵番は与らないのを元則としてゐるが、それも時勢の推移で、近来は組合で定価表まで作ってるのがある。さすがにそんなのは旧市街には少く、もっぱら新市街地の花街に行はれてゐるが、○○○は○円均一、○○新劵は○円均一となって居り、北郊から東郊へかけての花街地には、—例へば○○花街の如き(A)○円、(乙)○円、(丙)○円、○○花街の如き(松)○円五十銭、(竹)○円五十銭、(梅)○円五十銭といふ風に一円ちがひの三階級に分けて、極めて旗幟鮮明なのがある。

時勢はむしろ、かくあるべきが本当なのかもしれない。

家に依っては専ら出入する○○の写真を揃へておいて、これはA級、これはB級と指示するのもある。まるで娼岐扱ひだがそれも亦時勢であらう。

時間外○○の外に「別座敷」と称して、所謂「○○○の間」の定価表まで作ってある行届いた花街もある。