遊興制度

こゝも時間制で膝付き二時間を以て一座敷とし大芸妓二円六十銭、小芸妓二円、あとは一時間毎に大芸妓一円増し。 但一時間きり遊興の場合は大芸妓一円五十銭、小芸妓一円四十銭のこと。 印ちこゝの三時間と他所の二時間と略匹敵する勘定である。 ○○外はA二円五十銭、B三円、C三円五十銭と別れてゐるが、これ亦頗ぶる安い。

待合の席料もほゞ一円、一円五十銭、二円の三段にわかれ、女中の祝儀は規定が五十銭、高くても七十銭以上は請求しない。 但建物がいづれも古びて、あまりスッキリした気分の家のないのが欠点といへば欠点であらう。

なんにしてもこゝで一頭地を抜いてるのは料理旅館の「小泉園」だ、熊野前停留場の直前に位置し、土地での旧家、主人公は三業の社長で府会議員、舞台附二〇〇畳の大広間を有し、庭園もひろく、どんな大宴会でも園遊会でも引受けるし、いきな小座敷もあれば西洋間もありといつた具合、それに女中にも綺麗で気の利いたのが相当に居る。