主なる待合

今全盛を極めつゝあるは、此土地で芸妓として鳴らした姫本の経営する「姫本」で、先づ代表的な家と言はふ。 一時栄つた鉱泉旅館は、大井の砂風呂と同様今日は殆んど影をひそめてしまつて、昔の名称のまゝ残つてゐるのは不老閣ぐらゐのもので、旭館のあとは「松しま」といふ料亭になり、鉱泉閣のあとは「嬉月」といふ待合になつてゐる。