特有の歌謡

前掲「大塚ぶし」がある、作詞平山蘆江。

なほす朝寝に富士見ヶ岡の、富士は男の凛々しいすがた。

景気不景気、鬼でも蛇でも、ビクともせぬ気に惚れました。 (囃子同じ)

惚れた欲目となさけれのひけ目、どうともなる気で立て引く意地の、

気と気がむすんで、解けない仲は、若いうちこそ花が咲く。

囃詞にいふ「天祖神社」は巣鴨町の総鎮守で、九月十七、八の両日が大祭、この日は毎年新らしい趣向をこらした芸妓の「組踊」ができてこの花街の賑はふ日である。