道劵

芸妓屋 二〇軒。 芸妓 五十五、六名。 料亭 九軒。 待合 八軒。

これに属する主なる料亭は銀月、三楽、待合では菊水、楽々などで、芸妓の方でよく売れるのが吉の家の新之助、平の家の小万、豊年家の清香、田中家の小稲、喜久本のおかる等である が、若手で御安直なのが多く、此花街を背負つて立つといふやうな姐さん株は居ない。

芸妓代は時間制度で最初の一時間大芸妓一円五十銭、小芸妓一円二十銭。 爾後一時間を増す毎に大芸妓一円増し、小芸妓は八十銭増しだから、二時間一座敷とすると大芸妓二円半、小芸妓二円、お値段に於ても至極安直なのを特色とし、○○外は席料なしの五円五十銭。 『サービスをモットとして見晴らしよく、気安くて、而も奉仕百パーセント、互縁で満足が出来ます。 新見番、目印は青電燈』などゝ新聞に十行広告を出してゐるのは此の劵番所属の待合で、待合も料亭も芸妓屋も一せいに青電燈を掲げてゐるから一目してわかる。