料亭、待合の主なるもの

料理専業では昔ながらの「松浅」本・支店。 料理旅館では一現、松園。 待合では楽々、うち、夢の里、福利。

「うち」は元の歌茶屋で、烏森の湖月の経営に移つてから今の名に変つたのであるが、二十畳敷の応接室は恰かもダンス・ホール代用のかたちで一異彩を放ち、楽々、夢の里は所謂「一室一風呂」の設備にこの里の特色を発揮してゐるが、尚ほ目下建築中である福利別館は、その建坪四百坪、地階全部をダンスホールに充てゝダンスホールから東京湾を越えて房総の連山を望まうといふ趣向、これが出来あがつたら又ひとつ此里に名物がふえる訳である。