遊興制度

待合が無いから芸妓を呼ぶには料理店、引手茶屋、又は妓樓からする。 芸妓代は時間制で大芸妓一時間一円九十銭、小芸妓同一円四十銭。

娼妓の方の遊興費は樓の大小に依つて多少異るが、中店どころでは最低二円から普通三円、やりて婆さんの祝五十銭といふのが相場らしいが、大店では酒に一寸した摘みものが附いて、本部屋七円五十銭といふ所であらう。

新宿の遊廓が東北地方(特に福島県下)の女で固めて居るに反して、品川の娼妓には伊勢の女の多いのが特色であつて、そこに又一種の情調のあつたものであるが、昨今は矢張りこゝも東北地方の訛りを有つた女が大部分を占めて居るやうである。 が、何と言つても土蔵相模、島崎あたりで遊ぶ気分は、歴史的な背景を先入主とするだけに、ちよつと変つたところがある。