遊興制度

芸妓の時間代は別表の通り。 娼妓の方は無論廻し制度で、玉代は普通の店で一等二円六十五銭、二等二円、三等一円八十銭、これに種々小物が附いて本部屋に入るとすれば八円十銭、それで丼一ツ或ひは酒一本がつく。 但し夜十一時過ぎなれば最低一円五十銭で泊めるさうである。 酒の相場は月桂冠とレツテルのある四合瓶が一本一円四十五銭。

「新宿情調」として特に記すほどの気分もなく、又左程の馴染も此の廓に持つてゐないが、直ぐ近くを電車や自動車が引きり無しに往来してゐる所為か、始終そわヽとして落付のない廓で、漸やく電車の軋音が止んだかとおもへば省線を貨物列車が轟々の響きを立てゝ突貫し来たり、突貫して去る、といふ有様である。