主なる妓樓

二百五十軒の妓樓中『茶屋受貸座敷』となつてゐるもの六軒、即ち

本金樓。 睛光樓。 平野樓。 中梅川樓。 本住樓。 藤春樓。

等で、この外には福井樓、浜住吉樓、末吉樓、金田樓、彦太樓、栄住樓、まづこゝらが此の廓での大店で、就中日本建築で立派なのは藤春樓を第一とし、栄住樓も落つきのある好い家、平野樓は一見病院かともおもはれる堂々たる西洋建築である、おそらく之れが当廓一の大妓樓であらう。

此廓には越後から東北地方産の女が多く、気が利かない代りに性質は概して温順で、丈は低いが肌は滑らか、皮下脂肪に富んだ肉感的な女が多いかとおもはれる。