花街ロマンス

桜痴居士が「法事遊び」と称して、芸妓に悉く白無垢を着せ幇間の善孝を坊主に仕立てて、口々に『南無阿彌陀仏、々々々々々々』と念仏を唱へながら精進料理で酒を飲んだ話。 品川樓の花魁二代目清司が、初代清司の心中した室に入つて、その菩提を吊ふ為、背に南無阿彌陀仏、袖に塔婆、裾にしやれかうべ、木魚、鉦などを描いた白装束をして客を取つた話。 その他等々々、奇抜な遊びぶりに人の度瞻を抜いた花街挿話は、一冊の単行本にしても纏めきらぬ程沢山ある。