今日の吉原

震災前の盛観に迄復活するには前途尚ほ若干の時日を要するらしく、大阪の飛田・名古屋の中村等に比し外観に於て遜色あるを免れぬ上に、不景気々々々の嘆声に搗て加へて公娼廃止の叫び喧しき折柄、一般世人からは吉原の前途すこぶる悲観されて居るに拘らず、土地の人達は却つて楽観してゐるのはおもしろい。

現在貸座敷 二百九十五軒。

同娼妓 二千四百六十九人。 (昭和四年三月調)

引手茶屋 四十三軒。

芸妓 大小百五十五人。  幇間二十七人。

数に於ても、内容に於ても、依然本廓としての代表権を把握してゐるところは流石に吉原である。