主なる料亭と街合

料亭では新葭町の百尺、茅場町の喜可久(元の草津亭)この一一軒を除いたら、あとは良いにも悪いにも、住吉町に和可浦、蛎殼町に八新亭、他には−二軒の鳥料理がある位のもので、甚だ料理屋に乏しい花街である。

待合は沢山あるが是がまた団栗の丈くらべで、玄冶店の浜田家の外には、蛎殻町二の裏に初の家といふ一寸大きいのが一軒あるだけ。 芳町芸妓のおもなる出場処は浜町から中洲方面へかけて一帯の地域である。

三百十三軒の料理屋と待合は、左の二組合に分属してゐる。 その所属を一々こゝに列記する ことはとても出来がたい事だが、大体に於て蛎殼町方面が「料理待合組合」と称する方に属し、その他及び浜町方面は「二業組合」に属するものとおもへば先づ間違ひはなからう。

特別祝儀の利くのは勿論三流以下で、五円、十円、十五円、廿円乃至三十円。 待合の席料は一二流の家で三円乃至五円、三流以下になると一円・二円といふところ。 但し蛎殼町へんには随分安い家があつて、どういふ計算法を用ゐるのか私には迚も判断はつかないが、只の五六円 で遊ばせる家があるといふ話である。