名物の川開き

「此人数船なればこそ涼みかな」(基角)両国川びらきの濫觴は万治年中だといふ、年中行事として行はれるやうになつたのは享保十八年以後のことであるが、それにしても二百年の歴史を有する古い江戸名物の随一。 毎年七月の下旬、柳橋・浜町辺の料理屋が費用を出して行つてゐるが、是は勿論、柳橋の花街名物といふよりも東京名物で、大川沿ひの料亭・待合は半月も前から座敷が予約済みになる繁昌ぷり、一年中の書入である。