主なる待合

最も著明なるものゝみを挙げても、金田中(木挽町九)蜂龍(木挽町九)蜻蛉(築地三)田中家(木挽町九)瓢家(築地一)これに続くのが河内屋、山口、音羽、新柳、清水(以上、木挽町九)竹富久井、大竹(以上。 木挽町八)布袋家(築地二)喜ん楽、あさ岡、芳田川(以上、築地三)木住吉(烏森五)などいふ所であらうか。 木挽町九丁目は即ち新橋演舞場の在るところで、此あたりの裏通りは殆んど凡てが待合横丁といった態。 夜の九時から十時頃は主人を待つ自動車の十台や十五台、づらりと併列してゐない夜は無いほどの全盛ぶり。